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パラダイム変換に関して


初めてこのブログにお立ち寄り頂いた方には、前書からご覧いただくことをお勧めします。

「心は体の主人である。この主人を静かに安らかにさせておかねばならぬ。体は心の下僕である。動かして働かせねばならぬ。心が安らかで静かだと、体の主人たる天君はゆたかで、苦しみなく楽しむ。」貝原益軒

いい言葉なので、とりあえず冒頭に載せてみました。

さて、これまで説明を明確にするために、便宜上、意識できることをA、意識できないことをBと区切ってきました。ですが、「光のしぼり 意識の性質」で書いたとおり、意識には光と絞りの関係のような性質がありますので、意識を照射する対象がたとえ同一のものであったとしても、今は意識できるが、別の時には意識できない、或いは逆に、今は意識できないが、別の状況下では意識可能だということも起こります。つまり、同一事象でも、その時々でAの範疇にもBの範疇にも入れ替わる可能性があるということです。

科学というのはどんどんと未開拓の分野に研究の裾野を広げて明かりを照らし、この世から暗闇を駆逐しているイメージがありますが、人のオンタイムの意識には必ず光を照射できるAの領域と、盲点となるBが存在し、それが消えてなくなることはありません。たとえば、実際に私もBの性質についてこれまで繰り返し説明をしてきましたので、それについて読まれたかたは、これまではBの領域に属していた事象に対して以前よりもっと意識をしやすくなったことと思います。ですが、机に座ってPC画面の文字を追いながら、その内容に意識が届いている状態と、それを実地で使用するのでは条件が全く異なります。特に、身体操法を行っている最中にその意識状態を維持するためには、動作を伴っているため、必然的に脳が身体全体の動作調整にさく意識領域は大きくなり、それ以外の部分に使用できる枠は減少してしまいます。それに、もし仮に練習環境の騒音がひどく、目障りな通行人がいるとか、あるいは、他に心に引っかかる心配事がある状況下では、なおさら意識したいことに意識を照らすのは困難となります。つまり、頭では分かっていても実際に意識したいことへ意識を持っていくのはそれほど容易ではないということです。

これまで、基本モチーフを用いて、通常相容れないAとBが協力するメディアCを築くということを目標として説明してきましたが、この目的は、Cを介してBに関する知識をつけて、Aの意識が届くようにして、Bをなくしてしまうこと、ではありません。上述したとおり、Bをなくすのは不可能なことです。本当の目的は、従来であればAが働きにくい条件下でも、Bが以前に身体(本当は身体ではなく、線条体などの脳幹)に残した情報を頼りに、その場で最適の反応(判断や行動)ができるようにすることです。Bは意識の影でありながら、同時に行う運動に関する情報を並行して記憶再生させることができ、これはAにはできない離れ業です。そして、動作を再生させた時には、逆にその動作に付随して付いているひも(Aが記憶する情報につながるひも)が引っ張られるという仕組みです。これは、日頃からAとBをきちんと訓練していなければ到底できないことです。Aが反応できない状況でも、身体を動かしながら自ら環境を変化させて情報を収集し、次への行動とつなげるわけです。よく考えてみれば、仕事上でも、前情報の少ない新規客への対応、意表をついたクレーム、新しい業務への転籍、より責任の重い判断が必要となる仕事の請負、仕事以外の突然の不幸やトラブルなど、Aが反応できない状況など日常茶飯事です。あなたはそういうときに自分が望むような対応ができていますか?ふと、こんな風に考えてみるのも意味のあることでしょう。

Aの領域に対応知識の貯えのないアクシデントに見舞われた時、自分の中のA分野にだけ頼っていたらパニック状態に陥るか、あるいは、パソコンでいうところのフリーズに近い状態に陥るでしょう。ここで、自分のB分野に指揮権を明け渡せる信頼関係を日頃から築き上げていたならば、対応はまるで違ってきます。身体操法で学びたいことの一つは、いざという時に、Bを無視したり、Bからの解決という可能性を排除せずに働かせる余裕を持つこと、また、それだけの柔軟性としなやかさを自分の中に蓄えることにあります。「7つの習慣」という世界的ベストセラーの著書であるコビー博士はこの能力を、パラダイム変換の能力と言っています。同書籍に、とてもわかりやすい事例がありますので、かいつまんで紹介します。

コビー氏がニューヨークで仕事の移動中に地下鉄を利用していた時のことです。乗客もそれほど多くなく非常に静かな時間帯でした。コビー氏はこの時間を利用して考え事をしようと思っていました。ところが、ある駅で、中年の男性を筆頭に5、6人の子供が乗車してきました。子供たちは大声でわめくは、遊びまわるはで、静かな時間は台無しになってしまいました。さらには、喧嘩を始める子供が出てきたり、他の乗客が読んでいる新聞紙を奪う子供まで出てくる始末です。コビー氏はできるならば何もいいたくなかったのですが、抑えきれずに、その子供に同行しているらしい男性に声を掛けました。
「失礼ですが、あなたのお子さんたちですよね。どうして何も言わずに放っておくんですか?」
すると、その男性は大変元気がなさそうに、そして、すまなそうに次のように言いました。
「あぁ、そうですね。すみません。あなたのおっしゃる通りです。ですが、たった今病院から出てきたところなのですが、子供たちの母親が亡くなったところで、私にもどうしていいのかわからないのです…」

この言葉を聞いた瞬間に、コビー氏はたった今まで考えていたこととは逆の気持ちにとらわれていました。私からこの男性になにかしてあげられることはないのか、という強い気持ちです。

コビー氏が目にした事実は一つしかありません。ですが、その事実を捉えている思考の枠組み(パラダイム)ががらりと変わることで、同じ事実に対する自分の対処の仕方がまったく変わってしまうという一つの好例です。コビー氏の場合、この時は偶発的にパラダイム変換が誘発される事例に見舞われたと言えます。もしこのストーリーの後半部分の展開を事前に知らなければ、ほとんどの人が、このうるさい子供たちに対してコビー氏と同じような気持ちを抱いた、あるいは、同じ行動をとったのではないでしょうか。コビー氏は、偶発的なパラダイム変換に頼らなくとも、自発的にパラダイム変換を行える能力があれば、おのずと問題解決能力が上がり、誰でもより良い未来を築いていけるはずだと唱えています。

身体操法では、ヒトとして当たり前の動作反応がおこる仕組みを、まずは知識として客観的に認識した上で、一方でその反射反応を利用しつつ、かつ、人口的な動作を融合させることで、常識的にはできないはずだと思っていた新しい動作の完成を目指します。この過程で、これまで自分の体を通して当たり前だと思ってきたことがどんどん崩壊していくのを味わうことでしょう。自分の身体で常識の崩壊を実感し、そこからAとBを融合させた合理的な動作を、これもまた自分の身体で確認しながら自分の手で構築していく。コビー博士の話は、パラダイム変換の知識的な理解には、これ以上ないくらいのよい教材です。多くの人がこの話を読めば、パラダイム変換とはどういうことをいうのか頭では理解できるでしょう。ですが、いくら感動しても、その感動を日常の行動に転換できなければ日を追うにつれこの話の重要性を忘れていくに違いありません。身体操法で味わうことのできるパラダイム変換は体全体で時間をかけて養っていくものなので実にソリッドです。目的の動作を完成させることができれば、そのパラダイム変換の記憶を脳と体に一生刻み込むことになるでしょう。そして、「身体操法学習上の禁止事項」の一つとして、「競争すること」を挙げて説明したように、パラダイム変換を身体学習の大きな一つの目的と捉えた場合、修得の遅い人ほど、その人が自分の体に持つ常識の壁が厚い可能性を示していて、つまり、壁が厚く、修得がより困難なほど、修得できた時にはそれだけエネルギーの大きなパラダイム変換が起きることを意味しています。ですから、学習を始めた人が、人よりも理解が遅いと感じてもまったくひけ目を感じる必要はありません。目的をしっかりつかんでいればそれでいいと書いた理由はそこにあります。

ブログ記事の第一回目「はじめに」で身体操法の紹介として、
面白い
頭がよくなる
運動能力が上がる
健康になる
経済的
一生飽きない

と書きました。ずいぶん遅くなりましたが、「頭が良くなる(=能力開発)」と書いたのは、このような理由からなのです。

1 前書き
2 はじめに
【分類】 意識
【概要】 基本モチーフの説明
3 凧と凧糸 意識の操作と運動 
【分類】 意識
【概要】 企みが悩みになる意識の性質
4 光のしぼり 意識の性質
【分類】 意識
【概要】 二つの意識のメリットとデメリット
5 天才とは
【概要】 天才の性質を説明し、かつ、身体操法は天才でない人が学ぶための方法と説明
6 人間の進化の本当の意味
【分類】 進化
【概要】 企てたヒト 立ち止まって、動くのを止めて考えることを選んだ
7 身体操法で目標とする動作
【分類】 動作
【概要】 意識しなければいけないのに、意識すると難しくなるという矛盾
8 身体操法における動作要領
【分類】 動作
【概要】 具体的な動作要領
9 今の時代における身体操法の意義
【分類】 文化
【概要】 意識と行動を密着させる感覚を取り戻す手段としての身体操法
10 情報の整理
【分類】文化 
【概要】 普及しにくかった理由、時代を客観的に理解する
11 手作業の意味
【分類】 進化
【概要】 進化の流れから手作業の意味を解く
12 進化の反面
【分類】 進化
【概要】 ヒトの進化のデメリット
13 どうして健康になるのか
【分類】 健康
【概要】 身体操法と健康
14 究極のパズル
【分類】 パラダイム変換
【概要】 難しくて面白いパズルを例えにした説明
15 身体操法学習上の禁止事項
【分類】 練習容量
【概要】 具体的な練習方法に関して
16 AとBの性質の理解
【分類】 意識
【概要】  Bの性質の理解と活用法
17 師弟関係とは 身体操法の普遍性
【分類】 文化
【概要】 様々な分野での活用の可能性
18 パラダイム変換に関して
【分類】 パラダイム変換
【概要】 身体操法を通じて柔軟なパラダイム変換能力を身につける
19 姿勢と健康
【分類】 健康
【概要】 姿勢と健康



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