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姿勢と健康


初めてこのブログにお立ち寄り頂いた方には、前書からご覧いただくことをお勧めします。

もう一つ健康維持につながる要因があります。それは、身体操法で正しい動作を身につけるためには、正しい姿勢を学ばなければならないことです。

上半身で、まるで大黒柱のように身体を支えている脊髄には、そこから全身に張り巡らされる血管、神経、リンパ管が集中しています。ちょうど腰の部分にはその名も恐ろしい「命門」というツボがあるのですが、中医では腰椎の位置を身体全身を設計するエンジニアの役割にたとえて重視しています。身体は新陳代謝をしながらその時々の身体の状態に応じて調整変化をしているわけですが、この命門周囲の腰椎が曲がると、全身の設計が狂い始めることを意味しています。姿勢が少しでもよじれると、必ず脊髄のどこかに多大な負担が生じます。その部分の筋肉は背骨を支えるために緊張収縮し血管、神経、リンパ管全てを圧迫し働きを鈍らせます。癖になると、筋肉はしこり状に凝り固まり慢性的に神経を通る情報、血液、リンパ液などの流れが悪くなります。鉄筋の超高層の骨組みに少しでもゆがみがあれば、その部分には天文的な負荷がかかるはずですが、背骨にも同じことが起きています。また、ビルとはことなり、上体を支える骨組みは背骨の一本だけです。その負担の大きさもさることながら、一箇所が傾くと、一本で全身のバランスを取り戻さなければならないので、背骨はもう一箇所でもう一度逆方向へ曲がろうとします。ですので、姿勢の悪い人は、必ず脊髄に2箇所の患部を抱えることになります。そして、中医でのエンジニアのたとえの通り、脊髄のゆがみはあらゆる病気の温床となります。こういう症状を抱えると、医者は患者に日頃の姿勢に気をつけてくださいといいますが、実は、立っているときも、座っている時も、本当に正確な姿勢を意識して保つのは後述の通り非常に難しいものです。ですが、身体操法により、抗力が上半身に働く感覚を身に付けたならば、自分で一番健康によい姿勢を保つことができるようになります。そして、この姿勢は本当に身体に楽なものなのです。

実は、正しい姿勢といっても、人は動きながらその時々で色々な姿勢をとりますので、例えば各関節の角度の取り方というような外からの見た目の決まりだけで全身の姿勢を一つの形に確定するのでは、複雑に数字が増えるだけで実行するのは非常に困難です。仮に、癖で本人はまっすぐに立っているつもりでも、実際は少し傾いているとしたら、その姿勢を基準にして、腕や腿などが地面と水平であるか、垂直であるか、という全ての数字が微妙に狂ってしまいます。

ですので、一見大変なようでも、あらゆる動作・姿勢の時にも、基準となりえる計測器とそれを読取る感覚を身につけてしまう方が、圧倒的に楽だといえます。

原始的な器具としては、水を充満した透明なガラスの筒に気泡を一つ入れ、その気泡の位置から水平であるかどうかを測る水平器。飛行機のパイロットが上下左右の方向感覚を失わないために用いるジャイロスコープ。最近は複数の人工衛星を使用して位置を特定するGPSがあります。姿勢の確認にこうした器具を用いるわけではないですが、自分の身体に働く重力を用いる点はこれらの器具に似ているといえます。どんな姿勢でも重力は地面に向かって真下に働きますから絶対的な基準となります。あとは、その力に対して身体がどういう位置関係にあるかを認識できる鋭敏な感覚を身に付けさえすれば、どんな動きをしていてもきちんと機能します。

とはいえ、どうしてそんな感覚を身に付けることが可能なのかということを理解してもらうためには、もっと具体的に身体操法で求める動作について説明を加える必要があります。

整と散

中国語で動作の良し悪しを表現する時に用いる形容詞でお互いに反義語になっています。日本語でも読んで字の如くですが、「整」は全体がまとまっている状態を表し、「散」は全体にまとまりがなく散らばっている状態を表します。つまり、全身が協調して動けているかどうかが非常に重要ということです。

この全身の動作の協調により、2つのことが可能になります。
1つは、小さな動きでできるだけ大きな力を生み出すこと、
もう1つは、重力に対する抗力の利用です。

以下の数字は大雑把なものでしかありませんが、内容の理解には役に立ちそうです。例えば成人男性が腕を大きく振りかぶった位置からストレートパンチを放ったとします。仮に、片腕の重さを5kg、運動距離を30cmとしてその乗数150をエネルギーの大きさとしたとします。この場合、拳先の稼動域が大きいのに対し肩のそれは小さいでしょうし、肩口からそれ以外の身体がどれくらい動いたのかを計算に入れていませんから全く正確とはいえませんが、簡単に考えるためにそれらの要素をいったん無視します。

一方で、体重70kgの男性が、身体全体を同時に同一方向へ3cm動かしたとします。この場合のエネルギーは70kg×3cm=210となります。

少し乱暴な計算ではありますが、小さな動きで大きな力を出すとはこういうことで、全身の動作の協調がなければ実現不能です。ですが、逆にこれができたならば、力の大きさとは裏腹に、動きは読取りにくくなります。つまり、敵の視点からすれば、攻撃が当たるまでの変化が読取りにくく防御しにくいことになります。一方、この動作を外見から真似て学びたい人にとっては、かなりの困難を強いることになります。どう動いているのか見えにくいからです。では、実際問題としてどうやってそんな動きを体得するのかという疑問が湧くかと思いますが、その解答は少し後回しにして、全身の協調動作の2つ目の目的である、抗力の話を続けたいと思います。

重力が働き身体は地面に圧しつけられている状態ですが、地面は逆にそれに反発する抗力が働いて均衡を保っています。体重が70kgの人ならば、地面から真上に向かって70kgの抗力が働いていることになります。これはかなり大きな力で、もしもこの抗力が地面からまっすぐ腕の先(つまり手)或いは、頭のてっぺんまで伝わったら作用は大きいはずです。ですが日常でこれを感じることは少ないでしょう。体感としてなかなか分かりやすいたとえがみつからないのですが、人と遊ぶのが大好きな大型犬(子犬5~成犬15kg)が後ろ足で立ち上がってぶつかってくる力の大きさなら実感された方もいるでしょうか。これが全身が協調して出る力です。人は通常こういう力の使い方をしません。「手作業の意味」で書いた通り、ヒトのヒトとしての発達は、下半身と上半身の動作の分離により自由に手作業ができることになったことに始まります。つまり、下半身と上半身の分離は、抗力が地面から上半身へ直接伝わらないためのショックアブソーバーの役割を果たしているともいえます。この力がいつもいつも手先まで伝わっていたら、とても指先を使った細かい作業などできません。ですので、ヒトにとっては、抗力が分断される状態が自然で、絶えず全身に抗力が伝わるような動作は不自然だということです。少し話はそれますが、みんな自分の周りに空気が充満していることを当たり前の科学知識として知っています。ですが、この科学知識が当たり前でなかった時代には、一般の人々が空気という物質の存在を自覚するのは非常に大変だったに違いありません。抗力についても同じようなことがいえます。実は、ヒトはこの抗力を非常にうまくいなして歩いたり、手作業にいそしんだりしているわけですが、その状態が空気のように意識せずともできる状態であるため、その存在を感じるのが非常に難しいのです。例えば、やっと立ち上がることができた赤ちゃんが、一歩足を進める様子を想像してみてください。ドスンッと全身の重みが伝わりそうな勢いで足を踏みしめています。続けて数歩歩けくことに成功した赤ん坊は、スタスタスタスタとまるで綱渡りでもするようにバランスを崩すまで一息で歩き切ります。これは何を意味しているのでしょうか。前者の第一歩は、まさしく重心の乗っかった重い一歩です。赤ちゃんの全身がブルッとぐらつく勢いがあります。後者の状態の理解のために、もう一つ寄り道をします。よくしなる竹ざおを肩で天秤担ぎにして、そのさおの両端に重い荷物をぶら下げて荷物を運んでいる人たちがいます。(中国南部では今でも見かけられるのですが、日本ではどうでしょうか。)初めて目にすると、竿の素材が竹ではしなりすぎて運び辛そうに感じるのですが、当の本人たちはそうでもないそぶりです。傍から見ていると、その竹のしなるリズムが面白いものです。よく見ていると、どうしてわざとしなる竹ざおを使っているのか理解できます。両端の荷物の重みで竿が下にしなっている時には、重心移動を控え、竹の自然のしなりで荷物が上に持ち上がっている時(この瞬間、荷物は限りなく0kgに近い重みとなる)に、すっと次の歩を進めて身体の重心移動も完了させています。極端に言えば、肩に重みがかかっている時は立ち止まり、荷物が宙に浮いた状態の時に歩を進める、この2動作を滑らかに続けて歩いているわけです。実は、人は荷物を背負わずに歩いている時も、この作用を利用して歩いています。でなければ、先ほどのやっと立ち上がった赤ちゃんと同じで、一歩一歩がドシンドシンと重くなり、とてもではないですが体力も身体もその衝撃に耐えられません。身体の自重だけでも十分に重いからです。ですので、この状態を避けるべく、身体が宙に軽く浮き上がる状態を作り出すための上方向への蹴りと、前方へスッと重心移動させるための水平前方方向への蹴り、いずれも後ろ脚の筋肉で地面を蹴るわけですが、脚の筋肉をこのように使い分けてながら、後は全身に働く慣性をうまく利用して、できるだけ少ない衝撃で、かつ、最も労力がかからないように歩く方法を身に付けているわけです。つまり、後者の赤ん坊のように、綱渡りでもするように、続けざまにスタスタ歩いているのは、今の説明のようにかなり難しいタイミングを計りながら、高度な歩法を習得中と考えられるわけです。

さて、こんなに難しい歩法ですが、いざ修得できてしまうと、今度は空気のように当たり前になり、今度はその難しさが理解できなくなります。まして、できなかった時の身体の使い方を復元するのは容易ではありません。ここで一つポイントとなるのは、重心を楽に移動させるために、身体が宙に浮くように上方向へ蹴り上げる力です。もちろん、本当に足が地面から浮くほどに真上に蹴り上げて歩く人はいませんが(上に蹴り過ぎれば、今度は前方へ進みにくくなるため)、意味は理解してもらえるかと思います。この、身体が宙に浮くような状態の時は、もちろん地面から抗力から逃れている状態です。例えば、この状態でパンチを放っても対して力は伝わらないでしょう。いくら、攻撃方向へ身体全体を早く動かしても、必ずしも重いパンチになるわけではない理由はここにあるといえます。身体操法で学習する歩法は、この慣性を取り除いた歩き方を身に付け、地面からの抗力が上体に伝わるようにします。今となっては自分が赤ん坊の時に踏み出した一歩の興奮と衝撃を覚えている人はいないでしょうが、その感覚を意識的にもう一度身体に復元させるわけです。ですが、その重い一歩を想像すれば分かるとおり、抗力が上半身に働いている状態で、一歩を踏みださざる終えなくなるほど身体を傾けるのは非常に危険です。その衝撃は、地面に足が着地した時に、傾いた体のどこかに衝撃として伝わるからです。赤ん坊はこれを試みて一歩一歩の感触を覚えるわけですが、大人がこれをやったら身体に対する衝撃が大きすぎます。従って、身体は重力に対してまっすぐに姿勢を保つように、かつ、身体には極力慣性が働かないように、できるだけ後ろ足で地面を蹴らないようにして前進します。

ようやく話を冒頭の内容に戻しますが、全身に抗力が働く状態をしっかり認識できるようになれば、それを元に、自然とまっすぐな姿勢を保つコツも掴めるようになるというわけです。

1 前書き
2 はじめに
【分類】 意識
【概要】 基本モチーフの説明
3 凧と凧糸 意識の操作と運動 
【分類】 意識
【概要】 企みが悩みになる意識の性質
4 光のしぼり 意識の性質
【分類】 意識
【概要】 二つの意識のメリットとデメリット
5 天才とは
【概要】 天才の性質を説明し、かつ、身体操法は天才でない人が学ぶための方法と説明
6 人間の進化の本当の意味
【分類】 進化
【概要】 企てたヒト 立ち止まって、動くのを止めて考えることを選んだ

7 身体操法で目標とする動作
【分類】 動作
【概要】 意識しなければいけないのに、意識すると難しくなるという矛盾
8 身体操法における動作要領
【分類】 動作
【概要】 具体的な動作要領
9 今の時代における身体操法の意義
【分類】 文化
【概要】 意識と行動を密着させる感覚を取り戻す手段としての身体操法
10 情報の整理
【分類】文化 
【概要】 普及しにくかった理由、時代を客観的に理解する
11 手作業の意味
【分類】 進化
【概要】 進化の流れから手作業の意味を解く
12 進化の反面
【分類】 進化
【概要】 ヒトの進化のデメリット
13 どうして健康になるのか
【分類】 健康
【概要】 身体操法と健康
14 究極のパズル
【分類】 パラダイム変換
【概要】 難しくて面白いパズルを例えにした説明
15 身体操法学習上の禁止事項
【分類】 練習容量
【概要】 具体的な練習方法に関して
16 AとBの性質の理解
【分類】 意識
【概要】  Bの性質の理解と活用法
17 師弟関係とは 身体操法の普遍性
【分類】 文化
【概要】 様々な分野での活用の可能性
18 パラダイム変換に関して
【分類】 パラダイム変換
【概要】 身体操法を通じて柔軟なパラダイム変換能力を身につける
19 姿勢と健康
【分類】 健康
【概要】 姿勢と健康




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