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なぜゆっくりなのか


初めてこのブログにお立ち寄り頂いた方には、前書からご覧いただくことをお勧めします。

「8 身体操法における動作要領」、「19 姿勢と健康」でも、動作をゆっくりと練習する意味について説明をしました。全身を強調させる動作の学習が得意な脳は、意識状態が活発な時には働きにくいため、わずかな意識を動作に集中させることに用いて、他には意識が散漫にならないようにする状態で練習します。体が一部の筋力の運動エネルギーにより地面から浮いているような状態、つまり慣性で動いている状態では、反射的にその慣性に最適化した動作を行ってしまい、「動作を意識的に支配したい」という意識が隙入る余地がなくなります。ですので、慣性が働かない状態で、かつ意識で確実に全身のコントロールを行えるようにゆっくりと練習するわけです。もちろん、あくまでもこれは練習で目的の動作を修得するための方法で、実戦でゆっくり動くのはナンセンスです。

ところで、こういう理論的な説明だけではイメージがつかみにくので、今回は別のたとえを用いたいと思います。ゆっくりが肝心でも、ただゆっくりでは意味がありません。太極拳もただ言われた通りにゆっくりやっているだけでは、10年やっても20年やってもただのゆっくりな動作であって、何も習得はできません。難しい動作で無理にゆっくりだけを目的にしていたら関節を痛める危険性も高いでしょう。適度にゆっくりで初めて効果があります。以下、どれくらいが適度かという話をしていきます。

大きめのどんぶりに水をたっぷり張ります。そして、細い箸を一本だけ使ってその水をかき雑ぜます。目標は水が渦を巻く勢いで回る状態を作り出すことです。当然、簡単なことではありません。水の量に対して細い箸が一本では抵抗が小さすぎるからです。すでにおわかりかと思いますが、いくらムキになって凄い勢いでグルグルかき混ぜても、箸が水を切るだけでちっとも水は回らないでしょう。むしろ、全体に力が行き渡るように水の重さや柔らかさに合った適度な力とスピードで箸を動かすことが肝要です。体全体を強調させて動かすのもこれに似た感覚です。多くの武術家は、丹田のあたりをこのたとえ話における箸のように使うべく指導します。ここで次の話に移る前に、皆さんに少し考えてもらいたいことがあります。このどんぶりの水のたとえ話における二種類の箸の動かし方の違いをあなたならどう表現しますか?ただ「力を抜いて」とか「ゆっくり」という説明だけでは不十分ですよね。水の動きをうまくコントロールするためには、もうひとつ掴むべき大切な感覚があります。それがつかめなければ、いくらゆっくり箸を回しても、水はついてこないでしょう。ですが、暖簾に腕押しではないですが、水はやわらかすぎて抵抗感が非常に小さいため、この感覚をまだ自分でつかめていない人に口で説明するのは難しく歯痒い思いをするかもしません。

さて、新しい動作を覚えるためには、どういう動作が正しいのかその方向性を理解しながら繰り返し動作を行うことが大切です。ですから、時間をかければ誰でもできることで、非常に簡単なことです。たとえば、右利きの人に左手で箸を使えるようにしなさい、と云うのと同じことです。右手ではすでに箸を使えるわけですから、左右が逆であるだけで、正しい動作のイメージは十分に持っています。あとは、自由で滑らかに使いこなせるまで繰り返し練習あるのみですよね。身体操法において丹田から全身を強調させて動かすことも、正しい動作を繰り返し行えば誰でも体得できます。ただし、この場合、利き手とは反対の手で箸を使う練習と異なるのは、正しい動作についての明確なイメージや感覚をはじめからは持っていない点にあると言えるでしょう。ここで先ほどのどんぶりに張った水の話を思い出してみてください。同じようにゆっくりに見える動作でも、効果のある動作と効果の表れない動作、その違いは一見しただけでは分からないはずです。身体操法で学習する動作も、残念ながら一見しただけでは正しい動作と正しくない動作の違いが明確には分かりにくいものです。学習の難しさはまさにそこにあるのですが、どんぶりの中の水を回すのであれば、できるだけ力を抜いて、水の小さい抵抗が感じされるように箸をゆっくり動かすことが目的への第一歩であるように、身体操法でも、できるだけ全身の力を抜いて、自分の体の重さを感じられるようにし、丹田部を動かすことにより、他の部分がどういう重さを持って連動されるのか、その感覚をつかむことが第一歩となります。

1 前書き
2 はじめに
【分類】 意識
【概要】 基本モチーフの説明
3 凧と凧糸 意識の操作と運動 
【分類】 意識
【概要】 企みが悩みになる意識の性質
4 光のしぼり 意識の性質
【分類】 意識
【概要】 二つの意識のメリットとデメリット
5 天才とは
【概要】 天才の性質を説明し、かつ、身体操法は天才でない人が学ぶための方法と説明
6 人間の進化の本当の意味
【分類】 進化
【概要】 企てたヒト 立ち止まって、動くのを止めて考えることを選んだ
7 身体操法で目標とする動作
【分類】 動作
【概要】 意識しなければいけないのに、意識すると難しくなるという矛盾
8 身体操法における動作要領
【分類】 動作
【概要】 具体的な動作要領
9 今の時代における身体操法の意義
【分類】 文化
【概要】 意識と行動を密着させる感覚を取り戻す手段としての身体操法
10 情報の整理
【分類】文化 
【概要】 普及しにくかった理由、時代を客観的に理解する
11 手作業の意味
【分類】 進化
【概要】 進化の流れから手作業の意味を解く
12 進化の反面
【分類】 進化
【概要】 ヒトの進化のデメリット
13 どうして健康になるのか
【分類】 健康
【概要】 身体操法と健康
14 究極のパズル
【分類】 パラダイム変換
【概要】 難しくて面白いパズルを例えにした説明
15 身体操法学習上の禁止事項
【分類】 練習容量
【概要】 具体的な練習方法に関して
16 AとBの性質の理解
【分類】 意識
【概要】  Bの性質の理解と活用法
17 師弟関係とは 身体操法の普遍性
【分類】 文化
【概要】 様々な分野での活用の可能性
18 パラダイム変換に関して
【分類】 パラダイム変換
【概要】 身体操法を通じて柔軟なパラダイム変換能力を身につける
19 姿勢と健康
【分類】 健康
【概要】 姿勢と健康




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