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八卦掌は、なぜ拳(こぶし)ではなく掌(てのひら)なのか?

尊敬して止まない大学の先輩が、地元で週末農業を体験可能な農園を営んでいます。その農園に行くと、することのできる選択肢(オプション)はいっぱいありますが、これをしなさいという決まりは設けていません。直感でやりたいことをやりたいだけやらせてくれます。そのコンセプトが先輩らしい。でも、誤解のないように。豊富なオプションとは、当然自然農園でできることに限られています。雑草抜きだけでもいいし、土いじりなどの畑仕事でもいいし、収穫物を薪などを使って調理することでもいい、というような豊富なオプションです。

私が先輩宅にお邪魔した際に、ちょうど聞いた話ですが、薪割りを始めたら、いたく薪割り作業が気に入り、一日中薪割りをして帰ったお父さんがいたそうです。(具体的に何だったか忘れましたが)武道の心得のある方だったとのこと。

興味のある方は、今ちょっとだけ試して頂きたいのですが、両手を力を込めてグーに握ってみてください。そして、その状態を保ちながら両腕を大きく肩からグルグル旋回… その時の旋回運動はぎこちないものでしょう。手を硬く握ると特に小手の筋肉が緊張します。関節を開いたり閉じたりするため2種類の筋肉がどちらも収縮しようとし、関節は硬直します。だから腕は回りにくいのです。逆に手を開いて脱力した状態では、ブルブル回転するでしょう。力んだ筋肉部位は、電流の流れを止める絶縁体もしくは、半導体のような働きをします。ムチの一箇所に結び目を作ると、そこで運動の波は一旦停止するでしょうが、それと同じ原理です。

薪を上手に割ろうとする時、おそらくとっさに意識するのは、斧先のコントロールと振りかぶりの勢いでしょう。大きな振りかぶりで上半身の重みを斧に伝えることができれば、薪はきっとうまく割れるはずです。ですが、両腕の硬直した筋肉は上半身から波状に伝わる運動を遮ってしまいます。つまり、斧の振りに力を込めようという意識が、斧の柄の握りの強さに変換されると、薪は割り辛くなります。力を込めれば込めるほど、そのエネルギーは腕で爆発消滅し、薪には伝わらなくなります。かといって、握りを甘くすれば、振りかぶった斧は明後日の方向へ吹っ飛ぶでしょうから、それも極めて危険ですが。

つまり、上半身は柔らかく振り動かし、腕では斧がすっぽ抜けない程度に握り、薪に当たる瞬間だけ薪に斧が跳ね返されないよう強く握る。薪割りにはそうしたコツが必要なはずです。(白状しますが実は、私は薪割りをしたことがありませんので、推量での話です…)

小学生の頃、一時期早朝に父からボクシングを習ったことがあります。ボクサーのパンチも全く同じで、拳を握るのはインパクトの瞬間だけ。ボクサーは大きなグローブをしているのでこうした拳の握りは外から見えませんが、ボクシングのパンチの威力とスピードはこうした眼に見えないちょっとした技術から生まれます。

昔のアメリカのプロボクサーはパンチ力を鍛えるのに薪割りを行ったそうです。黒澤明監督の代表作「七人の侍」でも、軍師役の志村喬が薪割りに精を出す侍をスカウトするというシーンがあります。アメリカ・ハリウッドにて「荒野の七人」としてリメイクされた時も、腕っ節のガンマン(チャールズ・ブロンソン)が薪割りをしているところを、軍師役のユル・ブリンナーがスカウトするというシーンとしてそのまま活かされていました。

八卦掌でも拳は使います。ですが、基本形は手を開いた形です。それは自由に柔らかく変化に富んだ動きをするためには、手のひら(掌)を開いていた方が適しているからというのが一番の理由だろうと(最近)強く思います。

福岡八卦掌教室 指導員/大和晋(やまと しん)
HP http://baguazhang.web.fc2.com/
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