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見えない力

昨日の稽古で行った内容の一部です。定歩(足を定位置から動かさない状態での重心移動の説明です。)
誰でも試すことができます。やり方を書きますので、よかったら次の通りにやってみてください。

1回目:
正面を向いて、脚を平行に肩幅よりも少し広めに開いて立ちます。両腕を前方へ地面と平行になる高さまで上げ、できるだけ前屈みにならないよう背筋を伸ばし、膝の角度が90°になるまでゆっくり腰を落とします。いわゆる空気イスですね。(※膝への負担が大きいので、膝の悪い方は止めておきましょう。)

その姿勢を作ったら、いったん元の楽な状態に戻します。

2回目:
次に、前方に伸ばした両手の辺りにコンクリートの厚い壁があり、そこに体を支えるのに十分な丈夫な金属の取っ手がついているとイメージします。その取っ手にしっかり掴まって、その取っ手に全体重をあずけながら、先ほどと同様にゆっくり腰を下ろします。

01 02

どうでしょう?2回目の方が、相当に楽ではないですか?

1回目の姿勢も、2回目の姿勢も、完成形の見た目はほとんど同じです。ですが、明らかに2回目の方が楽だったと思います。これは、体の内部で全身の筋肉が何を目的に働こうとしているか、その協調性の働きが異なります。

複数の人数で操作する大きなヨットが海上に2艘あり、同じヨットですが、一方には優秀なベテランクルーが乗っていて、もう一方には素人のクルーが乗っています。航海にでるとその2艘では動き方が全く違うでしょう。体の働きもこれと同じと言えば分かりやすいでしょうか。

このように、ただ姿勢をそっくりに真似ても、全身のそれぞれの筋肉が強調して何をしようとしているのか、その全体像の指令を体に与えている状態と、そうでない状態ではアウトプットは全く異なります。これが意識の訓練が運動に与える作用であり、いわば“見えない力”です。

稽古でひとつの姿勢や架式を習い、関節の角度とか外見をどれだけ正確にできるようになっても、実践で使えるようにするためには別の訓練が必要といえます。

ちょっと難しく書きましたが、中国武術の基本中の基本、ただの“虚実分明”です。傍目には見えないから、稽古してない人が多いんです。

福岡八卦掌教室 指導員/大和晋(やまと しん)
HP http://baguazhang.web.fc2.com/
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