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礼儀の実利

チンピラ

子供に武道を学ばせる理由を訊ねると、「体を鍛えるだけでなく礼儀が身につくから」といわれるのをよく耳にします。7歳から空手、柔道、中国武術を齧ったり学んだりしてきた自分で言うのもなんですが、そこで学んでいた人たちがきちんと礼儀や道徳心を身につけられたかというと甚だ疑問でした、ずっと。

つい先月、日本選手が大活躍したリオ・オリンピック。ブラジルの方々の柔道熱が伝わってきました。現地レポーターが、なぜ柔道が好きなのですか?という問いに対して、ブラジルの方は、護身の技術を学べる点と、やはり、“礼儀が身につく”と答えていました。「日本人はとても礼儀正しいが、その文化を柔道を通じて学ぶことができる」というのです。日本にだけいると、日本人のマナーは当たり前のもので特筆すべきことではないですが、海外に出ると「日本人は礼儀正しいので好ましい」とよく評価を受けます。意外かもしれませんが、中国でも数多くの現地ドライバーにそう言われました。

それにしても、やっぱり「柔道で礼儀が身につくか?」と疑問に思いました。

一方で、「待てよ」とも思いました。
相手を尊び、それを話し方や作法で表していれば、日頃から不用意に敵を作ることを防ぐことができます。また、仮に真剣勝負となり勝敗がついても、相手を罵ったり侮辱したりしないこと、あるいは、敗れた相手の気持ちを汲まず大喜びしないこと、こうした礼儀は、命がけの闘いであるほど、実利として重要になります。

さらに、武術から離れ実生活でも誠実な人柄であり信頼してくれる方が多ければ、何かあった時にも事態を穏便に収拾することができます。

ブラジルのように治安が悪く、本当に襲われる危険性のあるところでは、柔道で学ぶ礼儀作法が実際に役立つのでしょう。そして、武術が命のやり取りである感覚が薄れ、スポーツ化していくと、礼儀作法の本当の意味も失われていくのかもしれないと思いました。

福岡八卦掌教室 指導員/大和晋(やまと しん)
HP http://baguazhang.web.fc2.com/
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