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今の時代における身体操法の意義


初めてこのブログにお立ち寄り頂いた方には、前書からご覧いただくことをお勧めします。

二種類の脳の特性比較から、今の時代における身体操法の意義を考察してみたいと思います。
前回の記事の終わりに、頭での理解がままならないようでも、体が予想以上に優秀に学習を進めてくれると書きました。正確には、ここでいう頭とは、意識的な動作をコントロールする大脳のこと、体とは、無意識で体をコントロールする線条体を指しています。体の学習機能が優れているとは、つまり、線条体の学習能力が優れていることを意味します。つまり、便宜上、脳と体という比喩を用いましたが、実際は、どちらも脳の異なる部位をさしています。
線条体の情報処理量と情報処理速度が非常に優れていることは、「人間の進化の本当の意味」で書きました。線条体は動作情報の記憶にすぐれていて、同じ動作を定期的に何度も繰り返すと、動作要点を刷り込み学習します。かつ、同時に複数の動作を並立して学習し、コントロールできることが知られています。時間はそれ相応に費やしますが、方法が正しければ確実に進化します。「光としぼり」のたとえで説明したとおり、大脳による意識は一つのことに集中できるものの、同時に複数のこと、あるいは広範囲のことに焦点を広げて情報収集をするのが大変苦手です。ですから、この点において、線条体は、大脳よりも大変優れていると言えます。一方でヒトが進化の過程で発達した大脳は、単純に情報処理量と情報処理速度を増大させる発達とは言い切れないということも同記事で記載しました。また、「光のしぼり 意識の性質」で紹介した、テーブルクロスのたとえの通り、現在という地面軸からの意識の離陸と、それにともなう大脳の発達の方向性について触れました。言い換えると、大脳が得意とするのは、時間軸的に情報量を増やすことといえます。たとえば、自然現象を観察し、時間経過的にできるだけ長い一続きの関連性を捉えて情報を蓄積する点です。この能力を得て、人の意識はより遠い未来へと伸びていきました。やがて、結果を体系づけるための情報量が、人の記憶に頼るには多くなりすぎると、情報を形に残すこと(外部記憶)を用いて、それを足がかりに、さらに遠い未来へと意識を伸ばす努力を続けました。
ヒトの歴史はまさに、いかに遠い未来を正確に予測できるかというものさしの上で、その情報処理能力を上げるべく努力と発明を行ってきた過程といっても間違いではないでしょう。中近世に始まる科学の発達と、産業革命における機械化がもたらした科学力重視の加速化、さらには、社会の情報化、経済活動のグローバル化を経て、これでもか、これでもかと、情報量は複雑化しながら膨張し続けています。近現代は、その科学力の恩恵に与り生活が豊かになったため、当然の如く、その社会の中で、さらなる社会の発展に寄与する人となるために、或いは、その社会の中で、さらなる恩恵に与るためには、とめどなく膨張し続ける情報を常にアップデートし、正しく情報分析を行い、そして判断して生きていかなければならなくなりました。
ところが、少し問題が生じました。本来、より正確な未来を予測するための情報分析は、個人がその分析対象を広範に広げつつ、それら大量の個人がお互いに効率的に情報公開や情報交換を進めた結果、分析に対する解答情報はソリッドでなくなってしまいました。変動値を多く見つけたために、知れば知るほど情報の底なし沼にはまり込むように、情報のカオスが出現し、自分の生活に直接的、あるいは、間接的にかかわる世界が広すぎるため、それと関わる情報ですら、何が本当で、何が嘘であるのか、その根拠を個人の力で実証したり、体験することができなくなってしまいました。いわば、テーブル上から離陸した意識が、その帰還点を見失ってしまった状態です。「凧と凧糸 意識の操作と運動」で示したように、伸ばしすぎた凧糸を元の糸巻きにうまく戻せない、とはまさにこの状態を指しています。
うまく飛んでいる凧を操っている時は、手元にいい感触の引きがあるはずです。この手ごたえが、地面と人と、凧と大気を一つにつなぎます。ですが、帰還場所を失い、遠くまで伸ばした意識がカオスにつかまったまま、まったくの手ごたえを失ってしまった場合、自然、現在、人、未来はバラバラになり、統一感を失います。いくら意識を遠くまで伸ばしても、どうせ答えにたどり着けないのなら、意識の使用をやめよう、と意識を元の鞘に戻せる人は幸いです。ですが、きっと答えがあるはずと、意識を緊張したまま伸ばしている人は、意識の力が、無意識が体を守ろうとする指令領域に侵食し始めます。こうなると、精神的な健康も肉体的な健康も損なわれてしまうでしょう。身体操法が求めるのは、こうした人も、伸ばした意識の糸を切ることなく、少しずつ糸を巻き直し、思考に対する結果という手ごたえを取り戻す作業だと言えます。

1 前書き
2 はじめに
【分類】 意識
【概要】 基本モチーフの説明
3 凧と凧糸 意識の操作と運動 
【分類】 意識
【概要】 企みが悩みになる意識の性質
4 光のしぼり 意識の性質
【分類】 意識
【概要】 二つの意識のメリットとデメリット
5 天才とは
【概要】 天才の性質を説明し、かつ、身体操法は天才でない人が学ぶための方法と説明
6 人間の進化の本当の意味
【分類】 進化
【概要】 企てたヒト 立ち止まって、動くのを止めて考えることを選んだ
7 身体操法で目標とする動作
【分類】 動作
【概要】 意識しなければいけないのに、意識すると難しくなるという矛盾
8 身体操法における動作要領
【分類】 動作
【概要】 具体的な動作要領
9 今の時代における身体操法の意義
【分類】 文化
【概要】 意識と行動を密着させる感覚を取り戻す手段としての身体操法
10 情報の整理
【分類】文化 
【概要】 普及しにくかった理由、時代を客観的に理解する
11 手作業の意味
【分類】 進化
【概要】 進化の流れから手作業の意味を解く
12 進化の反面
【分類】 進化
【概要】 ヒトの進化のデメリット
13 どうして健康になるのか
【分類】 健康
【概要】 身体操法と健康
14 究極のパズル
【分類】 パラダイム変換
【概要】 難しくて面白いパズルを例えにした説明
15 身体操法学習上の禁止事項
【分類】 練習容量
【概要】 具体的な練習方法に関して
16 AとBの性質の理解
【分類】 意識
【概要】  Bの性質の理解と活用法
17 師弟関係とは 身体操法の普遍性
【分類】 文化
【概要】 様々な分野での活用の可能性
18 パラダイム変換に関して
【分類】 パラダイム変換
【概要】 身体操法を通じて柔軟なパラダイム変換能力を身につける
19 姿勢と健康
【分類】 健康
【概要】 姿勢と健康



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